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笹幸恵
2021.10.9 12:04皇室

「『女性天皇』の成立」の読みどころ。

高森先生のご著書『「女性天皇」の成立』読了。
ひとことで言って、皇室問題についての復習と
頭の整理にはコレ一冊!!! という印象。
とりわけ「象徴」について考察されている第4章が
とても勉強になりました。

「日本国民統合の象徴」として行う行為は
ネガティブリスト、
「言われたことを言われた通りにやっていればいい」
のではない。つねに考えて主体的に行う。
何が正解か、答えなどない模索の道。
上皇陛下はそれを「全身全霊」で
取り組んでこられた。
それゆえの国民の反応・・・。
高森先生がこれを「奇跡」と記された一文に、
じ〜〜〜んと来ました。

そして男系原理主義者の主張をことごとく
ロジカルに論破しているのも読みどころのひとつ。
元正天皇は、当時の法規範からしても女系天皇。
もうこれだけで「過去に例がない」などとは
言えなくなる。

元正天皇は草壁皇子と元明天皇の子。そもそも
皇子を介して天武天皇につながっているとするより、
元明天皇の子(=女系)とするのが自然ではないか。
似たようなことを私は以前、ブログで書いたような気が
するのだけど、高森先生はそれを当時の法規範から
きちんと点検して答えを出してくださった。

天皇である女より、皇子である男を重視するのなら、
それは天皇か否かというより、
男か女かを優先させていることになる。
立場より性別重視。だから男尊女卑といわれるのだ。

象徴天皇制が「象徴」であるがゆえに抱える危うさ、
それは現在の眞子さまバッシングにもつながっている。
もういい加減、国民がきちんと関心を持って、
主体的に議論しなければならない時期に来ている。

明日の岡山道場は、そのキックオフともいえる
会になるのでは?

皆様、岡山でお会いしましょ〜。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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